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2009年11月

ハンス・クリスチャン・アンデルセンとの出会い

春爛漫に神を知ってから、あっという間に八ヶ月が経ちました。

「光陰矢のごとし」とはよく言ったもので、

「少年老い易く、学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず、未だ覚めず地塘春草(ちとうしゅんそう)の夢、階前(かいぜん)の梧葉(ごよう)、己(すで)に秋声(しゅうせい)。」

と詠った中国の儒者朱熹(しゅき)の詩の真実が身につまされます。

すっかり秋らしくなりました。

秋については、食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋などといろいろ言われていますが、私の場合、なんと言っても読書の秋です。

私が信仰に至ったのも、ある意味では読書によってであるという事ができます。

それというのも、私が直接信仰を決心したのは、『コンサイスバイブル』というダイジェスト版の聖書を、創世記から初めて、ヨハネの黙示録まで読み終えた、正にその瞬間であったからです。

その後も、教会の兄弟姉妹が優れた信仰入門書を沢山紹介して下さり、また、時には贈り物として下さり、私の信仰は、ある面では書物によって育てられたという感じがします。

これまで読んで来た本の中でも、特に感銘を受けた書物がいくつかありますが、そのうちの2つの書物の冒頭には、次のような全く同じ祈りが記されています。

主よ!無益なる事物に対しては
我等の眼を霞ましめ、汝の凡(あら)ゆる
真理に関しては我等の眼を隈なく澄ましめ給え。

その2つの書物のうちで、最初に出会ったのは、もう亡くなられましたが、日本人牧師、北森嘉蔵先生の代表的な著書『神の痛みの神学』でした。

その書物によって私は、自らが傷つき痛むまでに私たちを愛して下さるイエス・キリストの愛の深さを、理性と感情の両面から、はっきりと理解することができました。

また、その書物の冒頭に引用された祈りが、19世紀に生きたデンマークの哲学者であるセーレン・キェルケゴールの手によるものであったことを知り、キェルケゴールの著書を読んでみたいと考えていました。

後に、キェルケゴールの『死に至る病』を読むと、そこには前述の祈りと共に、一般に「実存主義の創始者」と呼ばれる単なる哲学者の言葉ではなく、ただ「真剣」に「神の前に」立つことを願った一人の信仰者の言葉が溢れていました。

そこで私は、北森先生は『神の痛みの神学』を著すに当たって、このキェルケゴールの真剣さにならうものでありたいと考えたのではないかと思い至りました。

そして、この祈りは、私個人にとっての生涯の願いになりました。

ところで私は、いつでもこれらの堅苦しい書物ばかりを読んでいる訳ではありません。

実は私が最も好きな読書ジャンルは物語です。

ブログのタイトルからもお解かりのように、C・S・ルイスの「ナルニア国ものがたり」が大好きですし、クリスチャン作家の作品に限らず、ファンタジーはよく読むジャンルの一つです。

そして、これは神様の導きであると確信しているのですが、ごく最近一人の有名な童話作家に出会いました。

その童話作家の名前はハンス・クリスチャン・アンデルセン。

歴史的な有名人ですから、その名前を以前から知ってはいましたが、意識して彼の作品を読んだことは、これまで一度もありませんでした。

それが最近、図書館で偶然手にした本によって、アンデルセンが非常に熱心なキリスト教信仰者であったことを知りました。

また偶然にも、彼はキェルケゴールと同時代に、同じくデンマークのコペンハーゲンで活躍した人物でした。

そうして改めて彼の作品を読んで見たところ、あっという間に、その驚くばかりの魅力に引き込まれてしまいました。

アンデルセンの作品には、キリスト教信仰者が、この世界の中に見出す、愛と美と善、歓喜が溢れていました。

そして何よりも、アンデルセンの多くの物語は、この世での生と死で完結しない永遠の命という、キリスト教の本質的な希望を示唆しており、それゆえに死を寛容に扱っているのです。

「死に対する寛容さ」は以前から私の人生のテーマの一つでしたから、同じ道を歩むこの「旅の道づれ」に出会ったことは、心からの喜びになりました。

※ちなみにアンデルセンの「旅の道づれ」という作品があるが、私にとっては「死に対する寛容さ」を感じさせる作品の一つである。

私にとって、この経験は「アンデルセンとの出会い」としか言い表しようのない経験となりました。

憐みと恵みに富み給う主は、かつて北森先生やルイス、そしてキェルケゴールと私を出会わせて下さったのと同じように、今また、時代と国籍を超えて、私に新たな友を与えて下さったのです。

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