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アンデルセン自伝~わが生涯の物語~より

引き続き、先日のKKベストセラーズ『一個人』の特集記事からの引用「キリスト教は信仰だけでなく、思想や文化、歴史や政治、生活にまで根づいている。」という文章を受けて、今日は童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの自伝から記事を紹介したい。

これは主に自伝の結びの箇所からの引用である。

 私の今までの生涯に晴れた日も曇った日もあった。けれども、すべてはけっきょく私のためになったのである。いわば、一定の目的地へ向かう海の旅のように、舵を取り進路を選ぶのは私自身である。私は私の義務をつくす。しかし、海を支配して暴風をおこし船をあらぬかたへ向けるのは、神の意思である。もしそうなっても、それはそれでまた、私にとっては一ばんよいことなのである。神となれば、私の胸は常に神を信ずる念にみち、私の心はいつもこの信仰によって幸福だからである。
 今日までの生涯の物語は、私自身ではとうてい考え出せないくらい、まことにゆたかにそしてみごとに眼前にくりひろげられた。私は自分が幸運の寵児であることをしみじみと感ずる。ほとんどすべての人が私をそっちょくにそして親切にむかえてくれた。私が人々にささげた信頼のうらぎられたためしはきわめてまれであった。上は王侯より下は貧しい百姓にいたるまで、私は彼らの胸に貴い人間の心の鼓動するひびきを聞いた。さても、生きることの楽しさよ!神と人間を信ずることの何というよろこびよ!
 あたかも愛する友だちに取りまかれている時のような気安い気持で、私は腹蔵なく私の身の上話を語った。私の憂いと幸福とを物語った。世人の敬意と称賛とに対する私のよろこびを吐露した。たとえ神のみ前であっても、このままそっくり申し上げることができると信じている。

 そして、アンデルセンの自伝の最後の言葉はこうである。

 私は神と人間とに対して、つつしんで私の心からなる感謝と愛とをささげる。

 これらの文章でアンデルセンが神と呼んでいるのは、聖書の神すなわちキリスト教の神である。

 そしてアンデルセンの多くの作品は、キリスト教の信仰の中心である「永遠のいのち」「たましいの救済」を主題に書かれている。

 例えば「人魚姫」や「マッチ売りの少女」がそうである。

 またそれ以外のほとんどすべての作品が、「善なる創造主によって造られた世界の美しさと喜び」「子どもの心の清らかさ」「友情の美しさ」「苦難の先にある希望」「善人の死に対する寛容さ」「悪人に対する裁き」など聖書の指し示す真理を主題としている。

 アンデルセンの童話の魅力は彼のキリスト教信仰に立った、神の支配する美しく善に満ちた世界観、そして、どんな苦しみや悲しみの先にも「希望」はあるのだという確信から来ているのである。

 そしてこのようなアンデルセンの信仰的世界観はその後の多くの作家、芸術家たちに大きな影響を与えている。

 むしろここで私が考えることは、いったい「善」と「美」、また「永遠」を追求する芸術家、思想家がキリスト教に接しているとして、その影響を受けないでいられるであろうかということである。

 また、現代の社会においてそのようなことがもし可能であったとして、キリスト教について聞いたことも接したことも全くない人間が、ともかく「善」と「美」、「永遠」を追求しようとした時、その行き着くところは、けっきょくキリスト教的なものにならざるを得ないのではないかということである。

 なぜならば、キリスト教とは、この世に「善」と「美」、そして人間が「永遠」という体験不可能な概念に対する強い「憧れ」をその内面に持っている事実に対するもっとも整合性の取れた説明を提供するものだからである。

 ここから、この宇宙と人間性に関するすべての謎に対する答えはキリスト教の中に存すると私は考えている。

 そこで私は、先日「一個人」-2010年12月号-KKベストセラーズ 保存版特集「キリスト教入門」 について引用した「キリスト教への理解は、人類と世界への理解といっても過言ではないだろう。」という言葉に心から同意するのである。

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コメント

無学な私には正直難しいです。
しかし一読の価値があることはわかります。
これからじっくり読ませていただきます。

投稿: ジェネシス | 2010年11月 8日 (月) 19時15分

私の文章が難しいと感じられるのは私自身が記事の内容を完全には理解していないからなのかも知れません。
作家の井上ひさしさんの言葉に
次のようなものがあります。

むずかしいことを、やさしく、
やさしいことを、深く、
深いことを、愉快に。

非常に含蓄のある言葉だと思います。

投稿: トイフェルスドレック | 2010年11月12日 (金) 00時56分

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