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臨床福祉学という「学」について

『スタートライン臨床福祉学』(丸山晋/松永宏子2006,弘文堂)を読んで

 『スタートライン臨床福祉学』第Ⅰ章によれば「臨床」と冠された「学」として従来から市民権を得ているものには「臨床医学」「臨床看護学」「臨床心理学」などがあり、「臨床福祉学」という概念は、古くからある社会福祉学の臨床的応用としての「古くて新しい」「今日なお発展中」の「学」である。

 そもそも医療や社会福祉(困窮者に対する相互扶助や援助)とは、人間が社会的存在として生活する上では必然的に必要となるもので、その起源は自然発生的なものであると考えられる。

 そのような自然発生的な人間の営みを科学的に洗練し、且つ効率的に行うための研究をするために事後的に生まれたものが、それぞれの「学」であるというのが私の考えである。

 そのような立場からは、医学(看護学、心理学も含む)や社会福祉学は、「実践」と切り離して考えることができない「学」であると言える。

 また、ここにおける「実践」とは、狭義の「実践」であって、具体的には病者に対する直接的医療の提供であり、困窮者に対する直接的援助を意味する。

 それが特に医学においては、自然科学の発展によって、直接的医療を強化あるいは効率化するための間接的医療分野の拡大によって、一見、上述の「実践」から離れた医学分野が肥大したところから、敢えて「臨床」を冠して、狭義の「実践」に特化した分野が改めて創出されて来たという流れがあるのではないかと予想される。

 そして、それと同じことが近年の社会福祉学の分野でも起こっているのではないかと思う。

 また前掲の文献によれば、「臨床学」とは「総合の学」であり、また「応用の学」である。

 つまり、「臨床学」とは、何某かの「実践」に関する「学」が真の意味での「実践の学」として成熟に伴って創出されるものであるとも考えられる。

 すなわち、「臨床福祉学」の創出は、社会福祉学が「実践の学」として成熟してきたことを示すものであると言える。

 また、それとは逆に「臨床学」の創出は、「実践の学」が原点に立ち返る、いわゆる「原点回帰」の姿であるとも言える。しかし、この「原点回帰」は単純に過去に遡るのではなくて、過去の研究成果を踏まえ、さらに今後の「実践」からも学び続けようとする「発展的原点回帰」であり、しかも「臨床学」とは、その「臨床」という性質上、正に今現在起こっている「現実」を重視する「学」でもある。よって、「臨床福祉学」とは「現実」に即した社会福祉学のあり方であると私は考える。

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